仏教豆知識教室

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お盆の行事や支度(したく)は地域によって何か違いがあるのでしょうか。

一般的に私たちがお盆と呼んでいる期間は、7月または8月の13日から16日までの4日間をさしますが、地域によってその日程や盆棚の飾り付け方など多少異なります。

 埼玉県内でも7月の10日おくれのお盆として、7月23日から26日までにお盆を行うところもありますし、旧暦に習い8月25日から28日頃になさる地域もあります。
 さて、お盆の入りの日には「迎え火」を焚いて先祖の精霊(しょうりょう)をお招きすることから「精霊迎え」「迎え盆」と称します。地域独自の習慣もありますが、お墓の前でローソクに火を灯したり、玄関先でオガラを炊くところが多く見られます。長崎県ではお墓で花火を使ってご先祖さまをお迎えする習慣もあり、とても興味深いですね。
 ただ、アパートやマンションにお住まいの世帯では、盆提灯に電気で明かりを灯したり、お飾りした盆棚やお仏壇のローソクなどに火を灯すだけのご家庭も最近は多いようです。
 お盆の期間中には、僧侶による棚経を行うところも多くあります。お上人にお経を上げて頂くだけでなく、家族がそろってお題目をお唱えしてご先祖さまのご供養を行うことが大事です。この時に僧侶に飲食(おんじき)のご供養も行われます。
 16日の夕方には「送り火」を焚いて、ご先祖さまにお帰り頂くことから「送り盆」とも呼ばれています。夏の京都の夜空を美しく彩る大文字(だいもんじ)焼きや、長野県や静岡県での柱松(はしらまつ)、投げ松明(たいまつ)といった地域対抗で火をつけて競争する火まつり行事を行うところもあります。
 また、さだまさしさん(長崎県出身)の歌で有名な「精霊流し」が行われるのも「送り盆」にする儀式です。「精霊船」や「灯ろう流し」では、各家のお盆飾りをまとめて小さな船にのせて海や川に流しましたが、最近ではさまざまな条例により制約を受ける地区もあるようです。
 ところで最近では「藪(やぶ)入り」という言葉をもあまり耳にいたしませんが、江戸時代には奉公人が正月とお盆の16日前後に主家から休暇をもらって親もとなどに帰りました。ちなみにお盆の休暇は「後の薮入り」とも申しました。また、この時期は、他家に嫁いだ女性が実家に戻ることのできる時季でもありました。
 日本ではもともと1年を2期にわけており、お盆は正月とともに折り目として先祖の霊を迎え繁栄を願ったことに由来します。つまりお盆は1年の2期目のはじまりにあたり、一家がそろうことは、何よりもめでたいことでありました。遠方で暮らす子供がお盆に親のところに帰り食事をともにして親孝行をし、一族の健康を祝うお盆のことを「吉事盆」(きじぼん)とも呼ばれていました。
 しかしながら、最近では夏休みの時期も人それぞれのようですので、お盆に実家に帰れないという人も多いとのこと。そこで、お部屋の中に盆棚に見立てたコーナーを作ってみてはいかがでしょうか。
 私たちが現在あるのも、すべてご先祖さま、仏さまのお導きあってのことです。先祖のいない人は一人もいません。お盆には、家族みんなで手を合わせお題目をお唱えいたしましょう。この美しい日本の伝統と心を子や孫に伝えるのは、先祖より命を頂き今を生きる私たちの大切な役目です。(平成18年8月1日発行 弘道第26号より)

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