仏教豆知識教室

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お盆やお彼岸の頃にお寺で行われる「お施餓鬼法要(せがきほうよう)」について教えて下さい。

施餓鬼は菩薩行の実践 欲や貧りを反省する機会に

 餓鬼道(がきどう)にあって苦しむ諸霊(しょれい)に飲食を施(ほどこ)して供養(くよう)する法要(ほうよう)を「お施餓鬼法要(せがきほうよう)(会(え))」といい、お盆(ぼん)やお彼岸(ひがん)の間、またその前後に行われますが、執(と)り行う時期が決まっているわけではありません。
 特にお盆の時、ご家庭によっては先祖(せんぞ)の精霊(しょうりょう)をお祀(まつ)りする盆棚(ぼんだな)だけでなく、供養(くよう)する人の無い霊や横死(おうし)した人の霊など、いわゆる無縁仏(むえんぼとけ)のためにも施餓鬼棚(せがきだな)(精霊棚(しょうりょうだな))をつくって施食供養(せじきくよう)をする習慣が残っている所もあります。また無縁仏供養(むえんぼとけくよう)のお塔婆(とうば)を檀信徒の方がお建てになるご寺院も多くあります。
 さて施餓鬼(せがき)は、有縁無縁(うえんむえん)を区別することなく施(ほどこ)すので無遮会(むしゃえ)、陸地や水辺は常に餓鬼(がき)が往来するところといわれるので水陸会(すいりくえ)、亡者(もうじゃ)をあわれみ救済する法会(ほうえ)なので悲済会(ひさいえ)ともいわれています。
 仏教では施餓鬼(せがき)は、有縁無縁(うえんむえん)を問わず施(ほどこ)すという菩薩行(ぼさつぎょう)(布施行(ふせぎょう))の実践であり、自分の命はすべての生命と繋(つな)がっていることを自覚し、自らの欲や貧(むさぼ)りを反省する大切な法要(ほうよう)です。
 日蓮宗でも大本山小湊誕生寺(たいほんざんこみなとたんじょうじ)など海辺に近いご寺院では、海施餓鬼流灯会(うみせがきりゅうとうえ)や、伝法正蓮寺(でんぽうしょうれんじ)(大阪(おおさか))では船を出した盛大な川施餓鬼(かわせがき)が地域の伝統行事として今日も盛大に行われています。
 謡曲「鵜飼(うかい)」は日蓮大聖人(にちれんだいしょうにん)が川施餓鬼(かわせがき)をし、後にその縁起(えんぎ)によって作られた作品として有名です。
 文永11年(1274)夏の頃、日蓮大聖人(にちれんだいしょうにん)が日朗聖人(にちろうしょうにん)・日向聖人(にこうしょうにん)と共に、甲斐(かい)の国(くに)、石和川(いさわがわ)(笛吹川(ふえふきがわ))を訪れた時、鵜飼(うかい)の翁(おきな)の亡霊(平大納言時忠郷)に出会いました。大聖人(だいしょうにんに)は日朗聖人(ちろうしょうにん)が集めた石に日向聖人(にこうしょうにん)が摺(す)った墨を使い、法華経の経文(きょうもん)69,384字を河原の小石一石に一字ずつ書写(しょしゃ)し、鵜飼川(うかいがわ)の水底に沈め、三日三夜にわたり施餓鬼供養(せがきくよう)をなされました。これにより亡霊を成仏(じょうぶつ)させた由来から建立されたのが石和山鵜飼寺(いさわやまうかいじ)(現在の遠妙寺(おんみょうじ)・笛吹市石和町(ふえふきしいさわちょう))で、宗門の「川施餓鬼根本道場(かわせがきこんぽんどうじょう)」として知られています。
 このたびの東日本大震災では大地震・大津波により余りにも多くの生命が失われました。また、避難先で亡くなった方もあると聞きます。未だ発見されないご遺体も多くございます。さらには原子力発電所の事故により多くの方々が家を離れ、不安な日々を送っておられます。
 「いのちに合掌(がっしょう)」を宗門運動のスローガンに掲げる私たち日蓮宗徒(にちれんしゅうと)は、あらためてつながる命・生命の尊厳をみつめ直し、震災横死、物故せられた諸霊のご冥福(めいふく)を祈り、今を生き、これからを生きる人々と共に立正安国(りっしょうあんこく)の世界に歩む誓いを立てるお盆といたしたいものです。

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